前の記事  |  次の記事  ]

2024年 歴史委員会…定例会議事録

歴史委員会
 
主なテーマ
    「江戸時代の庶民の生活の中の庭、町屋の中のエクステリア」
 
■2024年3月度 歴史委員会 定例会議事録
 

日時:2024年3月12日(火)17:00~19:00 ZOOMによるオンライン会議

出席者:山澤(ZOOMホスト)、高橋、浅川、伊藤、吉本、中澤

 

◆議題-1:活動報告会について反省と感想(参加して・アンケート集計を見て)

〇浅川:(PC担当)PCのPDF画像が消えない問題があった。PDFの発表は一番問題がないが、PPPTを希望する発表者のデーターは事前に発表で使うパソコンで確認が必要である。ZOOM参加者にアンケート様式と資料を送ったほうが良い。 

〇高橋:懇親会で新しい人達との交流ができた。(若い人たちのCAD作図の感覚に驚く)

〇山澤:(司会担当)発表時間を持て増している感じの委員会もあったようだ。

〇伊藤:(タイムキーパー担当)運営方法の準備不足で、リハーサルが必要。

〇吉本:歴史委員会をはじめ、調査報告等幅広く活動していることが分かった。

    懇親会では、各地域の人、若い人との交流ができた。

〇中澤:現在のように半日ではなく、1日かけての発表会であれば、個人の発表や

    E&Gの学生発表も可能ですが、今後役員会でも考えていきましょう。

 

◆議題-2:各委員の個人テーマに対する報告

〇浅川:「武家屋敷の全国の塀」について調査、整理中。築地塀、漆喰塀等。

〇高橋:「戦後の東京地方のエクステリアについて」生活から見たエクステリアの視点で

    1950年代の映像、写真集などを見ている。

〇山澤:「エクステリアの定義」について考察中。庭園学会で発表する前に聞いてほしい。

    住宅の庭を中心に大正中期以降の造園分業の推移とその後の教育から紐解く。

〇伊藤:「3CADの歴史について」継続中。

〇吉本:「インテリア・エクステリア事典」を読み始めた。

 1988年(36年前)全500ページの事典になる。36年前よりインテリア・エクステリアの

物の見方、考え方について一冊の著に纏め上げていることに驚きを隠せない。

 一度読んだだけでは理解できないので2回~3回ゆっくりと読み返しながら理解している。

 今年一年は、じっくりとこの本を読みあさり、戦後のインテリア・エクステリアの歴史について探求していく所存。インテリアのエクステリア化、エクステリアのインテリア化

 建物への坪庭の取り入れ、逆に庭園にインテリアとして制作された家具などを置くなど改めてインテリア・エクステリアの垣根(境界)が薄れている。

 デザインにおける物の見方では、哲学の話におよび調和的共生の時代を迎えて、あらゆる分野に興味をもち、一つの分野に創造者として突出したものが要求され、同心円状の図を用い真・善・美を統合する哲学があらゆる分野の有機的な調和から生まれるという解説や、21世紀は、明らかに共生の時代とり、諸神混在の東洋思想の時代に変化している。デザインを考える上でもこの思想は重要であるという解説コメントにも興味深い内容であった。

〇中澤:「エクステリア工事業界」について

 "現在の「公益社団法人 日本エクステリア建設業協会」へ至る経緯を調べた"

 *昭和39年ブロック建築技能士制度の実施を受けて、ブロック施工業界も動き出した。

 ・昭和40年 日本コンクリートブロック施工業者団体連合(建築系)が発足した。①

 (東京、神奈川の施工業者が中心に設立し全国の業者へ加入を呼び掛けた)

 ・昭和48年日 本コンクリートブロック施工業者団体連合(エクステリア系)  ②

                            (以上柳井軍司論文より)

 ・昭和51年 ①②が合併し、全国ブロック工事業組合連合会設立

  これが昭和54年 社団法人 日本建築コンクリートブロック工事業協会になる

 ・平成6年 日本エクステリア建設業協会と合併(関東エクステリア協議会、広島エクステリア協議会も入会)

  社団法人 日本建築ブロック・エクステリア工事業協会としてスタ-ト

 ・平成25年 「公益社団法人 日本建築ブロック・エクステリア工事業協会」

                            (以上 同協会沿革より)

 *昭和51年度に①②の団体は合併したのちでも、住宅ブームの時代背景のもと施工業界はCB施工協会、エクステリア施工協会、エクステリア建設業協会等の団体をつくり、施工会社は並行していくつもの団体に加盟していたようだ。

 ・昭和48年 日本エクステリア施工協会設立(瀬川氏)

  他、日本エクステリア建設業協会、関東エクステリア協議会などはまだ不明です。

  (使用した資料)

 ・「昭和50年版 業界名鑑」(日本CB施工連出版部)

 ・公益社団法人 日本エクステリア建設業協会 沿革、同協会HPより

 ・「業界の事業概要(第21回)」柳井 軍司 (社)日本建築コンクリートブロック工事協会理事

             雑誌 建設労働・資材対策研究会編(大成出版社、1988-08)

 ・『日本建築ブロック・エクステリア工事業協会「エクステリアプランナ―制度発足」の記事』

                   住宅ジャーナル1996-06月号 P54 ニュースの周辺

 ・元事務局長・常務理事石井 彰氏談話:2024/03/08)

       「平成6年当時のブロック建築施工業者とエクステリア施工業者との意識の違い」等

 

◆次回定例会:4月23日(火)17:00~オンライン会議 
 
 
 
■2024年2月度 歴史委員会 定例会議事録
 

日時:2024年2月20日(火)17:00~19:00 ZOOMによるオンライン会議

出席者:山澤(ZOOMホスト)、高橋、伊藤、須長、吉本、中澤

 

◆議題各委員の個人テーマに対する報告

欠席者からのレポート

〇犬塚:テーマ「(仮称)災害とエクステリア」について

 1.災害の種類(火災、水害、地震、雪害)

 ・火災

   ―外周塀の耐火・防火構造、塗り壁、瓦葺き

   ―防火樹の植栽

   *防火植栽の効果、落葉主体の現況植栽の問題

   ―火災に強いまちづくり

   *過去の事例:川越、倉敷

   *塀の種類と耐火度

 ・地震

   ―既存ブロック塀の倒壊防止対策

   ―既存石積の種類と問題点

 ・台風(風害)

   ―ブロック塀の倒壊防止

 ・水害(洪水)

   ―造成地盤高の設定、腰石積み

 ・雪害

   ―カ―ポ―トの強度、構造

 2.災害への対応

 ・ソ―ラ―照明、雨水貯留(トイレ等)

 ・災害に強いまちづくり

 3.過去の災害事例

 ・川越大火(1893,3月)

 ・宮城県沖地震(1978,6月)

 

出席者からのレポート

〇伊藤:「3CADの歴史について」

 昨年の学会発表会では、1980年代のエクステリアCADについて発表の機会を得た。

 現在、90年代についてまとめている。書籍の担当は、CADの他、ITメディアとインフラについて主にまとめる予定で情報収集を始めている。

 

〇須長:「戦後の造園・エクステリア・ガーデニング関連の書籍」

 10年を区切りに、時代ごとに出版物においてどのような傾向があるのか?

を読み解き、考察していく。

 

〇中澤:エクステリア工事業界について

[1]戦後の大手企業の参入したブロックメーカー、補強ブロック造住宅への国の支援策、商業ビル建築に多用されたブロック業界の推移とエクステリア工事業が成立過程について。

[2]日本エクステリア施工協会(エクステリア施工会社の全国組織)の雑誌関連記事からみる行政への影響(中小企業庁の調査への関与、東京都災害対策(ブロック塀)関連等)。

 

〇山澤:エンゲル係数とエクステリアとの関連性について

 25%が指標とされるが、30%を下回り始めた70年代にエクステリアの発展が見られる。

 これは庶民でも庭を所有できるだけの経済性を備えたことを裏付ける。

 それより以前の住宅の庭は和と洋が混在しているが、70年代から様式が現代風に近づく。

 さらに以前の住宅において洋風の庭は19世紀末のカリフォルニアの庭そのものである。

 

〇高橋:経済と文化について

 情報をより強く発信できる企業が生き延びている現在について。

 

〇吉本:自身のテーマ、戦後の「インテリア」と「エクステリア」の歴史、その融合

 現職でのテーマ「インテリア」と「エクステリア」の一体提案(融合)を時代背景より探求する。

 紹介書籍「インテリアエクステリア事典」産業調査会を入手し調査開始。

 

◆次回定例会:3月12日(火)17:00~オンライン会議 
 
 
 
 
■2024年1月度 歴史委員会 定例会議事録
 

日時:2024年1月15日(月)16:00~18:00

場所:(貸し会議室「東京都 千代田区 内神田1丁目5-11 セントラル大手町4F」)

出席者:浅川、伊藤、阿部、犬塚、須長、中澤、山澤、吉本氏(サングリーン)

18:00から新年会の開催(会議出席者に加えて、小沼、高橋)

 

◆議題-1今後の活動について(戸建て住宅のエクステリアの歴史:戦後から平成まで)

1.中期的スケジュールとして:2026年2月(歴史委員会編集「戦後のエクステリア史」)

              2025年1月(各担当項目の資料収集)

 

2.各担当項目(とりあえずの決定です。今後変更、新規項目でも可能です)

 ・政治、経済、流行、災害、車:山澤が整理済

 ・デザイン構成と植栽:山澤

 ・書籍:須長

 ・分譲地:浅川

 ・3DCAD、通信、インフラ、メディア:伊藤

 ・エクステリア資材の歴史(金物、ブロック)、流通:阿部

 ・エクステリ施工会社の変化、住宅・敷地の変遷、エンドユーザーの意識:中澤

 ・その他コラム的コメント:犬塚

 ・高橋(考慮中):会議後の新年会にて依頼

 

3.進捗確認方法について

 ・毎月の会議時に、レポート的に書面で提出

  *次回会議時より、各自担当項目の進捗、方針などレポート提出

  (会議欠席者は、事前に中澤宛メール送信してください)

 

4.定例会及び番外編会議(戦後のエクステリアを研究するグループ)の統一について

 これまで開催曜日を水曜日に固定化していたこと、一定の出席者のみの発言によって、他の委員が参加しにくいとのことで、「定例会」と「有志による番外編会議」の二本立てとしてきたが、開催日を当月出席者の話し合いで、次回の開催日を決めること、出席者だれでも発言できる雰囲気作りで、「会議を一本化する」ことにしました。

 

5.次回開催日は:2月20日(火) 17:00より ZOOMオンライン

(オンラインホスト役は阿部)

 

◆議題-2 「活動報告会」で歴史委員会発表者 須長より、発表内容の説明ありました。

 タイトル:「エクステリア」が本の表紙に現れ始めた時代

  ―1980年代―の出版状況から(4つの特徴的視点)

1.タイトルに「エクステリア」の文字のある本

 「エクステリア」という言葉は1970年代半ばから雑誌記事にはあっても、書籍にはほとんど見られず、1980年代初めに大森博史の著作から見られるようになるが、中には和風庭園も洋風庭園も共に「エクステリア」と表現する等名称と内容が一致するまでには至らない。

 この時期「エクステリア」の出版物の中では、際立っているのが飛岡健 編集の『エクステリアの視点』と『インテリアエクステリア辞典』である。

 

2.郊外住宅(戸建て住宅団地・ニュータウン)に関する本

 戦後大都市では深刻な住宅不足が長き、郊外では1960年代から大量の住宅地の開発が行われた。特に民間の開発では、大規模な戸建て住宅団地が建設されたが、それらは住宅と外構・庭園がワンセットとしてつくられた建売住宅が中心であり、大量に供給された住宅の外構工事や庭の植栽工事は、造園、エクステリア業界の発展に多大な影響を与えた。

 1970年代に入り、住いの多様性と良質な住環境を求める動きは、住宅地開発でも宅地の配置・道路・緑地等のインフラ整備から個々の住宅の外構・植栽に至るまで、計画的に創りトータルとしての住環境の良さを印象付ける販売手法が多くなった。

 こうした住宅地の計画や手法について最も早く、広く知られた本はイギリス郊外住宅地の開発について書かれたエベネザー・ハワードの『明日の田園都市論』で、1968年に翻訳出版され1981年までに11刷を重ねるほど、読み継がれている。

 1980年代には海外の事例紹介本や、建築家の宮脇壇、猪狩達夫などの計画・設計の具体的手法などの本が出版された。

 

3.雑木の本

 雑木の庭は昭和初期より飯田十基により生み出され、明るい和風庭園イメージは、戦後に広く指示された。飯田の教えを受けた小形研三は1973年に作品集を『庭・自然と造形』を出版した、これが雑木の庭の本の初めであった。この刊行をきっかけに、深谷光軌、星進、小島佐一の出版など1980年代まで雑木の庭ブームは続いた。

 

4.ガーデニング前史という本(庭園と園芸の融合、イングリッシュガーデン)

 1990年代の日本は、イングリッシュガーデンブーム、ガーデニングブームが起こり

住宅・街づくり・ランドスケープ・庭園・園芸・エクステリアなど広範囲に影響を及ぼした。

 しかしこうした前兆ともいえる本は、1970年代後半から80年代にかけて出版されていた。1978年には塚本洋太郎の『園芸の時代』。1977年に造園家、中島健は日本庭園に色鮮やかな洋花を植えこんだ庭を紹介された(「庭」別冊4特集)、1979年園芸家、川上幸男『緑の設計?庭と園芸の接点を求めて』等である。 以上。